ホスピタリティのすすめ

生産性向上

皆さん、こんにちは!
今回は生産性向上に関するお話になりますが、みなさんは「ホスピタリティ」についてお考えになったことはありますか?

サービス関連のお仕事に従事されている方は、よくご存じだと思います。サービス関連以外のお仕事をされている方、特に私のようなモノづくりに関わるお仕事をされている方にとっては、もしかしたら馴染みがない言葉かもしれません。


もちろん、「ホスピタリティ」という言葉や概念を知らなくてもお仕事ができますし、中には一流の成果を出している方もいらっしゃると思います。

ですが、仕事でも私生活でも大切なのは「人間関係」です。結果で物を語れるような凄腕を持つ方の存在を否定するわけではないのですが、結果を出す過程では必ず対人コミュニケーションが必要になります。結果やチカラ(財力・権力・知力など)で、他者を圧倒して有無を言わさぬ姿勢では成し遂げられることに限界があります。そして、その先の付き合いがなくなってしまう危険性もあります。


「人間関係」「対人コミュニケーション」を良好にする1つの考え方として、私は「ホスピタリティ」を大切にしています。私の中では、コミュニケーションの原理原則であり、本質であると思っているくらいのエッセンシャルポイントです。今回は「ホスピタリティ」について皆さんと一緒に考えていきたいと思います!

「ホスピタリティ」とは

語源としてはラテン語の「hospitalis」(お客様の保護)といわれていますが、一般的には「心からのおもてなし」「深い思いやり」の意で捉えられている言葉です。その歴史は中世ヨーロッパまで遡ります。当時はホテルが無かった時代でしたので、旅人は一般家庭に宿泊させてもらうことになっていたのですが、見知らぬ旅人であっても食事と寝床を提供していたと言われています。この、誰に対しても丁重におもてなしをする精神から生まれたという歴史があるとされています。

いやぁ、スゴイ話ですよね。私なんか、インターホンが鳴ってドアカメラに見知らぬ人(宅配の方以外)が映ろうものなら「えぇ!誰ぇっ!?」ってなって警戒モードを発してしまうのに・・

そんな”中世”のホスピタリティの精神が清々しいほどに欠落してしまっている私ですが、そんな私がなぜ、公私の信条にする程に「ホスピタリティ」を意識しているかと申しますと、良好な関係性の構築をしたいと思った時に得することが多いからです。

…損得で物事を考えてると、「計算高い」とか「あざとい」とかお思いになるかもしれませんが(笑)、皆が気持ちよくコミュニケーションが出来て、楽しく過ごしたり、仕事が出来るのであれば、絶対に取り組んだ方が良いと思ってのことですので、そのようにご理解いただければと存じます。


※ある種の「情けは人のためならず」みたいなものですね。巡り巡って自分がホスピタリティのある振る舞いを受けるようになるので

「ホスピタリティ」がある振る舞いとは?

端的に言えば、「相手を思いやった言動」になるのですが、単純に「相手の言い分(ワガママを含む)を聴けば良い」ということではありません。

相手が本音部分として実現したいことであったり、相手が考えついてないことに対して相手の目的や願望を考察して、自分に何かできないかを考えて実行する。ということだと、私は考えています。


特に、後者のように相手が何をしたいのか、何をして欲しいのかを具体的にイメージできていない(=正解が無い)ことに対してのアプローチが難しい部分であるのですが、その点をクリアすると、相手との距離がグッと近づき、ガッとハートを鷲掴みできます(表現が拙いですね…)


そして、相手を思いやった言動が相手に伝わり、相手が喜んでいることを実感できたなら、お互いに喜びを感じることができて相互満足に繋がるのではないでしょうか。

「ホスピタリティ」がある言動をするために

このあたりから完全に私見によるものです。(他にもやり方はあるんだろうなと思うので、これからも勉強を続けていきます!)
 
ホスピタリティを発揮するということを理解するには、ホスピタリティのある振る舞いを受けることが効果的です。例えば、有名であったり高級であったりするような場所に訪れるとか(食事する,買い物する,宿泊する など)。


以前、紹介した『夢をかなえるゾウ 1』で出てきた、課題にもありましたね。

メタボでブサイクなゾウに泣かされた話


有名な店・人気の店は分かりやすくおもてなしをされます。驚くことばかりです。実際にされた振る舞いそのものではなく、その振る舞いをされたことで自分が何を感じたのか、相手は自分にどう思ってほしいという意図でその振る舞いをしたのか。そこが学びを得るポイントです。※実体験をするのが1番とは思いますが、テレビや動画配信サイトの映像でも勉強になります。

飲食店・サービス業・ホテル業界などは、新規顧客の獲得も重要ですが、リピート率や紹介率(バイラル係数のような感じで、既存客が新規客をどれだけ連れてきてくれるか)が重要だと言われています。

「もう一度訪れたい」「誰かに紹介したい」「誰かを連れてきたい」と思わせるには、お客様に感動されるようなサービスが必要です。その比類なきサービスを提供するために、不断の努力を積み重ねたお店や企業が現代を生き残るという時代になっています


私のようにサービスを利用する側の立場としては、恵まれた時代になったと思います。SNSをはじめとしたネットワークのおかげで、素敵な経験ができるきっかけを作りやすくなりましたし、競争のおかげでサービスの質がどんどん上がってきています。(逆を言えば、サービスを提供する側は熾烈な競争を強いられているので本当にご苦労をされているのだと思います。)

あらかじめ「正解」が用意されてないものへの挑戦

まず最初に大切なことをお伝えすると、あらかじめ「正解」が用意されているものではないので、テクニックや裏技なんてものは存在しないことをご理解いただくことです。先述にも挙げた通り、「相手が考えついてないことに対して相手の目的や願望を考察して、自分に何かできないかを考えて実行する」という側面があるからです。

ビジネスマンが大好き。というより、人類の教科書ともいえる伝説の名著「7つの習慣」の言葉を借りると、テクニックや裏技などの戦術に代表される「個性主義」ではなく、本質や原理原則を追求した先にある「人格主義」にパラダイムシフトしなければならない。ということになります。パラダイムシフトは物事の見方・捉え方を変えるという意味でご理解いただければOKです。



「ホスピタリティ」について言うならば、相手が「今」、何を大切にしているかを主体的に知ろうとする姿勢。つまり、よく観察し、相手の気持ちに寄り添いながら、相手のために自分が何をできるのか考え抜くことが原理原則であると私は考えています。

「全然、具体的じゃないじゃん!」「それじゃ分からないよ?」とお思いになるかもしれません。この後、もう少し解像度を上げてお話ししますが、大切なことや本質的なことは得てして抽象的なものです。抽象的であるということは一般化されているものとも言えます。そのため、共通項があるのです。だからこそ、サービス業に従事されている方だけでなく、色々な人に「ホスピタリティ」を知ってほしいと思っています。

そして、「ホスピタリティ」を生み出すことの難しさを知ることで、他者から受ける心づかいが本当に有り難いことだと感動すると思います。その気持ちが人の心を豊かにするものと私は信じています。

VUCA時代(※)に突入した今だからこそ、様々なことにアンテナを張ること。そして人との繋がりを大事にしていく姿勢が大切だと思います。すべての問題は人間関係であり、すべての希望も人間関係にあります。他者の存在があるからこそ、私たちは夢を抱くことができ、ときには悩み苦しむこともありながら、生きていくことができます。

(※)
VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたビジネス用語で予測困難な状態を指します。そのような状況下において有効なフレームワークの1つとして「OODAループ」(うーだるーぷ)というのがあります。いずれ、スポットを当てたいと思います。

【あくまで参考】ホスピタリティのあるアクション

私の職業柄、オフィスワークに偏ってしまうのですが、私自身の成功体験や、私の職場で「あぁ、受け手の気持ちを考えられているなぁ」と感銘を受けたシーンについて取り上げていきます。あくまで、その時点で私が感動したこと。「これこれ!その言動を待っていた!」と感激して気持ちよくなった出来事についてお話ししますので、「え?そうかな?」と思うことがあるかもしれません。そんな時は「そういう人もいるんだね」と思いつつ、拒絶しないレベルであれば、騙されたつもりでトライしてください。

【資料作成】
文章の構成や色使いが適切である。というのは最低ラインだとして、「ホスピタリティ」の視点で差が出るのは読み手の前提条件を配慮できているか。がポイントになります。よく「結論から言え」と教えられることや教えることが多いと思いますし、文章の構成としてオーソドックスな「PREP法」や「SDS法」も要点(Point/Summary)を先頭に持っていきます。これ自体は正しいです。


ですが、いきなり核心をついたポイントをドーン!と言われると困惑しませんか?「え?何の話?」「いきなりどうした?」となった経験ありませんか?

例えばですが、今回の記事では一貫して「ホスピタリティは大事だよね」ということを主張している内容ですが、「さぁ、みんな!ホスピタリティって最高だよね!みんな大事にしよう!」と言いながら登場してきたら「ポカーン( ゚д゚)」って感じですよね。(顔文字が変換で出てきたから使ってみました)

つまり、これから伝えようとする内容をより理解してもらえるために、読み手の理解や意識レベルを自分に近づけるような補足情報や背景を提示することがアクションプランです。場合によっては、自分が何をしている人なのか、なぜそう思っているのかを伝えてあげるのも効果的です。人間にはバイアス(先入観・偏見)があるので、同じ言葉でも発言する人によって説得力や重みが変わります。早い話「オマエ誰だよ?」って思ってしまうと、大切なこと言っていたとしても「本当かな?」って思ってしまうことがあります。また、本題に入る前に理由や目的を簡潔に伝えることについては、相手が我が事として聞くべきか否かの判断を相手ができるようになるという狙いがあります。

実際に私は、取引先になるような企業様向けにプレゼンをしたり、説明の機会を頂くことが管理職になってから増えるようになりましたが、私の立場(=システム開発の責任者であることや、現場での職務歴)を自己紹介の中で触れたり、アピールポイントについて話す際には、取り組みに至るまでの背景(現状や課題)を取り上げた上で、取り組みを行う目的や狙いを伝えるようにします。

その結果、先方からは「責任ある立場で組織を主動している人」が、「目的意識を持って取り組んでいる」というプラスの印象を持ってくれた上で、その後のアピールポイントを聴いてくれたと勝手に思っています。そして、アピールした内容が、目的に沿っていて効果があると伝わったおかげもあって、「もっと話を聴きたい!」とありがたい言葉を頂戴し、相手の心を掴むことができた経験があります。これが私なりの、説明の機会を与えてくださった方に対して、分かりやすい説明と、先方のためを想った取り組みをしていることを伝えたいという気持ちから出た「ホスピタリティ」でした。

【会議/プレゼン】
資料に関連して、会議やプレゼンにおける「ホスピタリティ」についても触れていきます。基本的には資料作成と同じく「相手にどれだけ寄り添えるか。相手のニーズをどれだけ満たせるか」がポイントです。具体的に見ていきましょう。

1.準備・会場のセッティング
極論を言ってしまえば、ここで勝敗の9割が決すると考えています。それだけ準備工程が重要です。会議やプレゼンの本番は、「準備してきたことを実行するだけ」の状態にできれば最高です。ここでは、”資料の読み込みを練習する!”というのはありきたり過ぎてしまうので、その他のポイントを挙げていきます。

①時間配分
「いや、それこそ当たり前でしょ!」という話かもしれませんが、時間配分は蔑ろにはできないと思っています。ここでの時間配分は、会議室の設営~撤収までの時間までを含んでいます。時間通りに会議を始められるように会場の設営をして、時間通りに解散できる。そして、次の時間帯で会議室や会場を使う人たちが来る前に片付けを完了して撤収できる。ということです。会議に参加する人、プレゼンを聴いてくださる人は貴重な時間を割いています。改めて問います。本題の会議やプレゼンの時間を十分に確保していますか?


②設営
特にオフラインでの会議では、プロジェクターやモニターなどが正常に動作するかだけでなく、表示されている資料が全員に見えるか(資料の文字の大きさや、色合いに問題がないか)。この辺りは基本かと思います。モニターが変わると資料(パワーポイントなど)の色合いが少し違って見えるのはアルアルですね。「ホスピタリティ」の観点で言えば、モニターの位置(聞き手との距離・高さ)あたりもポイントだと思います。モニターが近すぎたり、目線を上げなくてはいけない高さにあると、聴いている側は苦痛になってしまいますよね。

モニターの他にも、座席にもこだわりたいところです。ラグジュアリーな椅子を用意しよう!って話ではないのですが、モニターからの距離や両脇の人も見やすい角度になっているか、前後左右でゆとりのある距離感になっているかは最低限押さえておきたいです。


一応、こんな椅子が用意されているとイイなぁと思うのをイメージとして載せておきます。


会議室に用意されている備品には限りがあるので、「自分たちにできること」を考えて行動することが大切ですね。

私の部下の話になるのですが、「60分枠で研究結果のプレゼンをして」とお願いしただけですが、プレゼンの練習を何度もしてくれただけでなく、私を含むゲストを迎えるために、会議室の設営と撤収の時間を含めて会議室の予約をしてくれていました。(私の職場は同業他社が入居しているビルになるのですが、会議室の予約の取り合いがなかなか熾烈なので、地味に前準備が大変だったと思います)そして、モニターが見やすくなるように椅子を完璧に並べてくれたので、気持ちよく定刻通りにプレゼンを聴けました。個人的には時間に余裕をもって準備を終わらせて、定刻前に会議室に来たゲストを「お疲れさまです!」と迎え入れてくれたのも好印象でした。本題のプレゼン内容も素晴らしく、とても有意義な時間を過ごせました。

他にも、話し手としての聞き手への配慮であったり、聞き手として話し手に対して尊重する姿勢であったり、これは「ホスピタリティの精神に溢れているな」と感激するようなことがあります。「配慮」「姿勢」「精神」という言葉を使いましたが、これらは、スキルやテクニックの話ではなく、心配りの問題です。誰でもスグにできる話ではありますが、意外と自分のことで一杯一杯になって出来てないことがあるのではないでしょうか。私にはあります。常にパーフェクトでは振る舞えません。

一所懸命になることは悪いことではなく、良いことだと思います。ですが、「私が伝えたいことはなんなのか」「誰に伝えたいことなのか」を考える習慣を身に付けると、1歩前進。どころか、三輪車からジェット機に乗り換えたくらいに「人」としての進化スピードが上がると考えています。主語は常に「私たち」。皆さんも一緒に頑張りませんか。

いかがでしたでしょうか。
仕事であってもプライベートや趣味であっても、人との関りは切っては切れないモノとなっています。そうであれば、出来ないよりは出来た方が良い。では、どうやったら出来る側の人間になれるのか?そういったことを気づきとしてお届けできていれば幸いです。

今回は「ホスピタリティのある振る舞いを受けることが効果的」ということをお話しさせていただきました。自分自身で気づけなかった「相手に対する心配り」を知る良いきっかけになると考えています。さらに言えば、「その振る舞いをされて自分がどう思ったか」「相手は自分に対してどのようになってほしいと思ってそうしているのか」をイメージすると、色々な人から勉強することができます。そして、皆さん自身も、他人に対して良い影響を与えていることもあると思います。自信を持って学び合っていきましょう!

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